振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

Wikimediaの「全言語版対象オンライン執筆コンテスト」

 本エントリーはWikimedia Advent Calendar 2018に登録しています。

qiita.com

 

1. ウィキメディア財団「国別・地域別協会」とは

Wikipediaを運営するウィキメディア財団には約40の「国別・地域別協会」があります。ウィキメディア財団 - Wikipediaによると、“企業・学校・他の社会団体と現地ユーザとの連携を図ると共に、また独自の資産をもち、財団の活動の支援を行う” のが「国別・地域別協会」だそうです。

「国別・地域別協会」は具体的には行政や学校や図書館と連携してWikimediaWikipedia)の理念の普及や利用の推進を行っており、日本で言えばウィキペディアタウン - Wikipediaなどのアウトリーチ活動がそれに近いと思われます。しかし、日本のウィキペディアタウンは各地の主催者が個別に活動しているだけに過ぎないことからわかるように、ウィキメディア財団日本支部は存在しないし、現状では設立に向けた動きもありません。

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(画像)国別・地域別協会の設立状況。青が活動中。その他は議論中・計画中。

 

2. 「全言語版対象オンライン執筆コンテスト」とは

各地の「国別・地域別協会」は自国内での活動が主となるわけですが、他国のウィキペディアンに向けた活動を行うこともあります。その一例が「全言語版対象オンライン執筆コンテスト」です。

WLE執筆コンテストを振り返って - 振り返ればロバがいる - 2015年11月・12月

ウィキ・ラブ・オリンピック - 振り返ればロバがいる - 2016年8月・9月

城チャレンジ(Castles Challenge)に参加する - 振り返ればロバがいる - 2016年9月

カタラン・カルチャー・チャレンジ2017 - 振り返ればロバがいる - 2017年3月

私が過去に参加した「全言語版対象オンライン執筆コンテスト」は約15回。うち4回分のブログに貼りました。その目的・意義・ルール・参加方法などについては、2016年夏のリオデジャネイロ五輪の際に参加した「ウィキ・ラブ・オリンピック」(Wiki Loves the Olympics - Meta)のエントリーが詳しいです。ざっくり説明すると以下のような感じです。

 

主催者はウィキメディア財団イベロアメリ支部です。世界各国のウィキペディアンの皆さん、スペイン語圏やポルトガル語圏のオリンピック関係記事を作成しましょう。「南米のオリンピック選手」や「他国のパラリンピック選手」の記事なんて、こんな機会に誰かが意識して作成しないと増えません。どの言語版に記事を作成してもよいです。リオ五輪に出場した選手だけでなく、過去のオリンピック選手の記事でもよいです。もちろん日本語版に作成してもOK。ポイントは自分で申告してくださいね。ポイント上位には何かプレゼントします。

 

私はリオデジャネイロ五輪に関係する以下のようなオリンピック関係記事を作成しました。

ミレイア・ベルモンテ - Wikipedia - スペインの競泳選手。女子200mバタフライ金メダル。

カロリーナ・マリン - Wikipedia - スペインのバドミントン選手。女子シングルス金メダル。

ルート・ベイティア - Wikipedia - スペインの陸上競技選手。女子走高跳金メダル。

サウル・クラビオット - Wikipedia - スペインのカヌー選手。男子K-2 200m金メダル。

2016年リオデジャネイロオリンピックのスペイン選手団 - Wikipedia - 選手やメダルの一覧。

 

「ウィキ・ラブ・オリンピック」には14言語版から45人が参加しました。主催者に近いスペイン語版やポルトガル語版に多くのオリンピック選手記事が作成されたのは当然として、英語版・ポルトガル語版・ブルガリア語版・ポーランド語版・アルメニア語版・ドイツ語版・フランス語版・アラビア語版・日本語版・カタルーニャ語版・アストゥリアス語版・パンジャブ語版・オリヤー語版にも記事が作成されました。

スペイン語ポルトガル語しかわからない主催者でも、世界各国のウィキペディアンをおだてることによって、さまざまな言語版で目的の分野の記事(ここでいえばオリンピック関係記事)を増やすことに成功したのです。

ウィキペディアンは基本的に “自分が作成したい記事” を編集しますが、「全言語版対象オンライン執筆コンテスト」では “誰かが作成を望んでいる記事” を編集することになります。簡単なルールを読める英語力があれば参加でき、自言語で自言語版に編集できます。

 

3. まとめ

私はこれまでに約15の「全言語版対象オンライン執筆コンテスト」に参加してきました。Wikipedia利用者ページ下部に一覧を掲載しています。その主催者はさまざまで、ウィキメディア財団スペイン支部カタルーニャ支部、イベロアメリ支部アルメニア支部スウェーデン支部など。Wikipedia日本語版で活動するウィキペディアンの皆さんも参加してみませんか。

将来的にはウィキメディア財団日本支部ができ、日本支部が主催して「全言語版対象オンライン執筆コンテスト」を主催できればと思います。