振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

ウィキペディアタウンin瑞穂に参加する

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(写真)集合場所の瑞穂生涯学習センター。

 

名古屋市瑞穂区を訪れる

 2018年3月17日(土)、「ウィキペディアタウンin瑞穂」に参加しました。

 名古屋市図書館で開催されるウィキペディアタウンは今回で3度目。2017年6月には中央館である名古屋市鶴舞中央図書館、2017年12月には支所管内分館(区内で2番目の館)である名古屋市山田図書館で開催しており、今回は分館(区内で1番目の館)での開催です。

 名古屋市南東部に位置する瑞穂区は、三河地方に近い地域。名古屋市を訪れる際に名鉄本線を使う私にとっては、堀田駅を前に右側に見えるこんもりとした町(瑞穂区井戸田町)や大きな建物(瑞穂区生涯学習センター)は見慣れた風景でしたが、このイベントの準備段階までこの地域を歩いたことはありませんでした。

 今回の集合場所は瑞穂生涯学習センター。鶴舞中央図書館のムード歌謡歌手である齋藤森都さんによる「Wikipedia」や「ウィキペディアタウン」の説明の後、みずほ史跡ウォーカーのガイドを受けて山崎川河岸・井戸田町のまちあるきをおこないます。地下鉄妙音通駅でいったん解散し、参加者は自由に昼食をとった後、瑞穂図書館に集合して編集ワークショップを行いました。

 茜さんの説明では「瑞穂区について」の説明がありました。瑞穂区外・名古屋市外・愛知県外の方が多いことを把握したうえでの、ガイドによる詳しい説明に入る前の緩衝材となる説明でした。「自己紹介ワーク」や「ふりかえり」を重視しているのもこのイベントのポイントです。

 

スケジュール

10:00-10:30 主催者挨拶・斎藤さんによるWikipediaの説明(瑞穂生涯学習センター)

10:30-12:00 まちあるき

12:00-13:30 各自で昼食

13:30-14:00 主催者による作業の説明・私によるWikipediaの説明(瑞穂図書館)

14:00-16:00 編集ワークショップ(瑞穂図書館)

16:00-17:00 成果発表・ふりかえり(瑞穂図書館)

 

まちあるきする

 特に前半は交通量の多い道路を歩くということで、約25人の参加者は3グループに分かれ、各グループ2人のガイドの説明を聞いて歩きました。この辺りはさすが常設のガイド団体という気がします。まずはほぼ「郡道」に沿って南下。現在ある道路とはややずれているようで、道路の痕跡もないようですが、地域資料にはしばしば登場する道です。

 400mほど南下すると郡道は旧東海道と交差しています。旧東海道が山崎川を渡る場所には山崎橋が架かっており、河岸には秋葉社やかつての橋桁が。下見で歩いた際にはこの秋葉社の存在が気になっていましたが、ウェブ検索や図書館の地域資料からはまったく情報を見つけられない存在だったのです。橋桁については個人ブログなどがヒットしますが、「ここにある1基以外の3基も周辺に残されている」という説明は初耳でした。東海道に関しては今回歩いた瑞穂区内よりも、山崎川の南側の南区内に見どころがあります。

 山崎橋からは北上して藤原師長謫居跡(ふじわらもろながたっきょあと)へ。赤い鳥居が印象的な嶋川稲荷の一角に石碑が建てられていますが、実際には50m程離れた場所に居住していたようです。謫居跡から北上して妙音通を渡ると井戸田町龍泉寺で説明を聞いた後、上野街道(鎌倉街道)の一部を歩いてから井戸田コミュニティセンターに入り、再び龍泉寺に戻ってからいったん解散となりました。

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(図)まちあるきコース。

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(図)井戸田町の拡大図。

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(左)山崎川の河岸にある秋葉社。(右)河岸の公園にある旧東海道の古い橋桁。

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 (写真)黄色いベストを着たみずほ史跡ウォーカーの方の説明を聞く参加者。

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(写真)井戸田町龍泉寺。右はかつての井戸「亀井水」。

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 (写真)龍泉寺に隣接する、鳥居がある最経寺。

 

 主催者からはランチマップが配布されましたが、掲載されていなかった「新瑞フレンチ」に。内部はおしゃれだけど名前や看板がださい。キッシュがでかすぎて食べきれませんでした。午後の会場は名古屋市瑞穂図書館。解散地点からは徒歩で約15分です。1969年開館の瑞穂図書館は2015年に移転しています。名古屋市でいちばん新しい図書館のはずなのですが、まったく新しさを感じさせない不思議な館内が魅力です。

 

編集する

 私も10分ほど時間をいただき、午前中の森都さんとはやや異なる視点から「Wikipediaとは何か」という説明をしました。らっこさんが「WikipediaLIB@信州」で初めて使った「ウィキペディア:#事実が重要」という動画も鑑賞しています。「ウィキペディアタウン in 安曇野松川村」におけるさかおりさんの説明が印象的だったため、「私はなぜWikipediaを書いているのか」という説明も添えました。

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(左)名古屋市瑞穂図書館。作者: KAMUI。Wikimedia Commonsより。(右)瑞穂図書館が準備した文献の一部。もうひとつブックトラックがある。

www.youtube.com

 

 地元在住の市民、図書館員、ウィキペディアの編集経験者、リーダーシップをとれる方をバランスよく配置するため、名古屋市ウィキペディアタウンでは「WikipediaLIB@信州」などと同じように、事前にグループ分けを行っています。主催者が事前に選定した編集記事候補の中から、グループごとに編集記事を決めました。

 今回は鶴舞中央図書館や山田図書館で開催した際よりも小規模な会議室でしたが、前回までにはなかったホワイトボードが各グループに用意されました。常に情報を共有しながら作業するためには重要なアイテムであり、下の写真のように節構成などを視覚的に確認して作業しています。

 

今回の編集対象記事

上野街道 (名古屋市瑞穂区) - Wikipedia(新規作成)

藤原師長謫居跡 - Wikipedia(新規作成)

藤原師長 - Wikipedia(加筆)

井戸田町 (名古屋市) - Wikipedia(加筆)

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(左)コーディネーターの山本茜さんと、図書館側の責任者である畑中さん。(右)ホワイトボードで節構成を確認する。

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(写真)編集ワークショップ中の参加者。

 

ふりかえり

 さて、私がウィキペディアタウンに参加するときは「講師/編集サポート」という役目がある回と「一般参加者」である回があります。編集ワークショップ中には「講師/編集サポートとして会場全体に目を配る」回と「どこかのグループに入ってファシリテーター的な役割をしながら編集作業する」回があります。今回は「協力者」(編集サポート)という立場で、上野街道を新規作成するグループに入って編集作業を行いました。

 ウィキペディアタウンに参加するウィキペディアンには、①講師として全体に目を配るのがうまい方(例:くさかきゅうはちさんやらっこさん)、②ファシリテーターとしての動きに長けた方(例:AraiSyoheiさん)、③文章作成を指揮するのに専念する方(例:のりまきさんやSwaneeさん)がいます。苦手なファシリテーターとしての役割が重要であることは認めつつ、自分の強みは①でも②でも③でもないことを感じています。他の方が書いてくれた文章を引き立たせるような編集を心がけており、また「ウィキペディアを書くこと“の先”が重要である」という主催者の意図をうまく伝えようともがいています。