振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

豊田市中央図書館と交流館図書室を訪れる

・某所の文章に小加筆してブログ記事にする実験。

2017年7月1日から7月4日まで3日間、Wikipediaのメインページに「豊田市中央図書館 - Wikipedia」が掲載された。この5月と6月に豊田市中央図書館と5つの交流館図書室を訪れてから書いた記事です。

 

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このブログにおける写真は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 3.0 非移植 ライセンスの下に提供されています。すべての写真はCategory:Toyota city library - Wikimedia Commonsにアップロードしています。

 

 

 

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(上)豊田市中央図書館が入っている参合館。名鉄豊田市駅ペデストリアンデッキで直結。 (下左)図書館入口。(下右)イタリアの彫刻家チェッコ・ボナノッテの作品『文化の種 ミューズ達』。かなりの金額で購入したらしい。

 

1998年から「豊田市中央図書館」が入る参合館の3階から7階に図書館がある。8・9階が能楽堂。10階から13階がコンサートホール。現在は参合館がある駅前通りの再開発が進行中で、11月には豊田市中心市街地初のシネコンが開館する。

豊田市の「図書館」は1館だが、その他に31館のネットワーク館(コミュニティセンター図書室/交流館図書室)、1館の分室(こども図書室)がある。豊田市中央図書館の蔵書115万冊に目を奪われるけど、31館あるネットワーク館で計60万冊を所蔵している。貸出数に至っては中央館160万冊、ネットワーク館計180万冊と逆転する。

激動の2016年を経て、2017年4月から中央館に指定管理者制度が導入された。開館時間は1時間延びた。職員数は100人から80人に減ったが、司書数は2人から44人に増えた。2016年度までの司書は奥にこもりきりだったが、今年度は司書のほうからトランシーバ片手に声をかけてくる。

2016年から2017年に何度か中央館を訪れているが、新聞データベースは「予算不足で契約を取りやめ」、目玉のひとつである2,000自治体分の自治体史は書庫にしまい込み、館内の写真は職員同伴で許可されるもののSNSへのアップロード不可。今や図書購入費は一宮市より少ない。いろいろ悩ましい点はあるものの、愛知県図書館にない本があったりする圧倒的な蔵書の多さは(ごく稀に)頼りになる。

豊田市こども図書室」と「豊田加茂広域市町村圏移動図書館」の存在はユニーク。31室のネットワーク館とは別にこども図書室が1館だけ分館扱いされている不自然さの理由は、新聞記事を読んで納得した。

 

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豊田市中央図書館と、豊田市の交流館図書室の写真を掲載した。上から順に若林交流館、崇化館交流館、梅坪台交流館、保見交流館、上郷交流館の5図書室。いずれもAsturio Cantabrioが撮影。この5館のほかには妹島和世建築設計事務所が設計を手掛けた逢妻交流館|豊田市生涯学習センター交流館のように建築面で評価の高い交流館もある。

 

若林交流館図書室

所在地 : 愛知県豊田市若林東町沖田124

アクセス : 名鉄三河線若林駅から徒歩2分

若林交流館は1999年開館で、建築年も床面積も蔵書数も交流館の中では平均的といえる。麦畑が広がるのどかな地域にある。キッズスペース、児童書の書架、一般書の書架が段々になっている。入口から入って正面にあり、受付にも近い。図書室と他の部分を遮る扉などはなく開放感がある。図書室部分の上部は吹き抜けとなっている。南西側に大きな窓があって明るい。2万冊弱の蔵書数なのに地域資料も充実している。『豊田市史』はすべての交流館図書室に置いてあるのかもしれない。

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崇化館交流館図書室

所在地 : 愛知県豊田市昭和町2-46

アクセス : 名鉄豊田市駅から徒歩8分

最寄駅が豊田市中央図書館と同じ豊田市駅となる、もっとも豊田市の中心市街地に近い交流館。マンションに見える裏側と、なんとも言えないデザインの表側の壁面のインパクトが強い。31館中3番目に古い1985年竣工だが古さは感じない。入口を入ってすぐ、1階の中央部が図書室になっている。

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梅坪台交流館図書室

所在地 : 愛知県豊田市梅坪町1-15

アクセス : 愛知環状鉄道梅坪駅から徒歩2分

1983年開館。31館ある交流館の中では若園交流館に次いで2番目に古い。豊田市の交流館は毎年のようにどこかの館が更新されており、31館中14館は移転新築を経ている。1980年代の建物をそのまま使用している館は梅坪台交流館を含めてわずかしかない。梅坪台を含めて、どの交流館でも勉強する中高生がいた。図書室と他の部分を区切る扉などはなく、開放感がある。オレンジ色で区切られた下段は児童書、水色で区切られた上段は一般書。児童書・一般書が同じ書架にある珍しい配架方法。

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保見交流館図書室

所在地 : 愛知県豊田市保見町四反田121-1

アクセス : 愛知環状鉄道保見駅から徒歩3分

1982年に開館、1984年に移転、2007年に現行館に移転した保見交流館。一見するとかなり大きな施設に見えるが、中庭や吹き抜けなどの部分が多いので床面積は2,000m2に満たない。図書室部分はわずか92m2であり、狭さを感じるどんづまりの空間。ポルトガル語中心の外国語書籍コーナーがある。保見地区は南米出身者が多い保見団地を抱えている。

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上郷交流館図書室

所在地 : 愛知県豊田市上郷町5-1-1

アクセス : 愛知環状鉄道三河上郷駅から徒歩10分

1975年に開館し、1988年に現行館が竣工した上郷交流館。旧上郷町のメインの交流館であり、45,000冊という蔵書数、256m2という床面積は31館あるネットワーク館の中でも有数の規模。閉館日に訪れたら図書館入口にシャッターがしてあった。建物の他の部分と図書室を隔てるものがあるという点で、5館の中で唯一「(旧来のイメージの)図書室」らしさを感じた。

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