振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

スペインの自治体記事を作り続ける

2014年からスペインの自治体記事を作り続けている。ウィキペディアの根幹となるのが地名/自治体記事だと思っている(地理学徒のうぬぼれ)。

バルセロナなどの大都市、パンプローナなどの州都/県都クラスの都市はすでに記事があった。人口5万人以下の自治体は未作成の自治体も多かった。新規作成したスペインの自治体は100自治体弱、スペイン以外の自治体を含めると100自治体を越えた。ひとつひとつ、コツコツと作り続けている。

スペインには約8,100の基礎自治体がある。Xaponesさんが約400自治体を、Magyonさんが約200自治体を、私が約100自治体を作成し、この3人以外が約100自治体を作成している。記事があるのは約800自治体。自治体総数のたった10%でしかない。

これらの自治体の多くは、日本語ではまったく言及されることがないか、たった1つの視点からしか言及されない。これらの自治体について初めて日本語で言及するメディアがウィキペディアとなることも多い。おもしろい。

新規作成した自治体の中からいくつか紹介。

 

 

スペイン北部・東部

アウリッツ/ブルゲテのホテルにはヘミングウェイが泊まった。『日はまた昇る』の主人公ジェイク・バーンズによるとこのホテルは「高すぎる」。(ナバーラ州)

ランツの謝肉祭では人形が村中を引き回された上に焼き殺される。フランコ政権が問題視したもの無理もない。(ナバーラ州)

スガラムルディには魔女が住む洞窟がある。今日でも毎年「魔女の集会」が行われるが、若者が乱痴気騒ぎを楽しむ場になってしまったらしい。(ナバーラ州)

ソペラにはヌーディストビーチがある。老若男女130人がフルヌードで走るマラソン大会が開催されている。集団で駆ける参加者の画像への外部リンク有。(バスク州

ビジャロヤの人口は8人。選挙になると9時前から投票所前に住民が集まる。9時に投票所が開くと一斉に投票を行い、9時1分には閉まってしまう。イリャン・デ・バカスはれっきとした基礎自治体なのに登録人口が0人だったこともある。(ラ・リオハ州

マンシージャ・デ・ラ・シエラダム湖の底に沈んだ。乾季には湖の底から廃墟が現れる。(ラ・リオハ州

ベルチテはスペイン内戦で市街地が完全に破壊されたが、フランコ政権によって意図的に「廃墟が残された」。(アラゴン州

サン・サドゥルニ・ダノヤビラフランカ・ダル・パナデスはカバワインの拠点であり、スペインを代表するワイナリーが集まっている。(カタルーニャ州

カステリョー・ダンプリアスには「スペインのヴェネツィア」がある。何もない湿地帯に別荘併設型マリーナを築いた。(カタルーニャ州

マニゼスはスペインにおける窯業の首都であり、その根底にはイスラーム教徒の製陶技術がある。(バレンシア州

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(左)ランツの謝肉祭(右)スガラムルディの洞窟

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 (左)ベルチテの廃墟(右)マニゼス陶器

 

スペイン中央部・南部

メホラーダ・デル・カンポには、1人の修道士が手作業で作り続けている「大聖堂」があるが、56年経ってもまだ完成していない。(マドリード州

世界遺産に登録されたアルマデンには世界最大の水銀鉱床がある。かつて囚人労働者や奴隷労働者が強制的に働かされた負の歴史を持つ。(カスティーリャ=ラ・マンチャ州

コンスエグラカンポ・デ・クリプターナには十数基の風車がある。ドン・キホーテがどちらの町に突進したのかは判明していない。(カスティーリャ=ラ・マンチャ州

アンテケーラはアンダルシア4大都市を結ぶ四角形の中央にあり、「アンダルシアの心臓」と呼ばれる。2016年にはヨーロッパ有数のドルメンが世界遺産に登録された。(アンダルシア州

マリナレーダ共産主義者ユートピアであり、この自治体に来ればみな平等。(アンダルシア州

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(左)フスト大聖堂(右)コンスエグラの風車


スペイン島嶼

インカはスペインにおける靴製造の中心地だ。フィロキセラでブドウの木が壊滅したことがきっかけだった。(バレアレス諸島州

・人口700人のデイアには国外の上流階級が別荘を持つ。「ブランド品を付けているのは村人、サンダルや麦わら帽子で生活しているのは上流階級」というジョークがある。(バレアレス諸島州

テルデは日本のマグロ漁船の基地があったラス・パルマスに近い。日本国憲法9条に共感した首長によってヒロシマナガサキ広場が建てられた。(カナリア諸島州

・1492年、大西洋横断前のコロンブス氏はサン・セバスティアン・デ・ラ・ゴメラに立ち寄った。(カナリア諸島州

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 (写真)コロンブスが立ち寄った島

 

 

 

写真はいずれもWikimedia Commonsより。

ランツの謝肉祭("Panzermix" CC BY-SA 3.0)、スガラムルディの洞窟("Argia.com" CC BY-SA 3.0)、ベルチテの廃墟(CC0)、マニゼス陶器("team a" CC BY-SA 2.5)、フスト大聖堂("Tony Rotondas" CC BY-SA 3.0)、コンスエグラの風車("Hugo Díaz-Regañón" CC BY-SA 2.0)、コロンブスが立ち寄った島("Andree Stephan" CC BY-SA 2.0)