振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

「オープンデータデイ2017in掛川」プレイベントに参加する

www.city.kakegawa.shizuoka.jp

2月4日(土)、掛川市が主催する「オープンデータデイ2017in掛川」(本番は3月5日)のプレイベントに参加しました。

 

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2月3日(金)には事前調査に参加させてもらいました。最初の7枚は事前調査の際に撮影し、あらかじめWikimedia Commonsにアップロードしておいたものです。1枚目は執筆会場の大日本報徳社大講堂。重要文化財

 

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左 : 正門。左の経済門と右の道徳門は同じ高さです。

中 : 大講堂大広間。執筆会場。桟敷がある。

右 : 大講堂大広間。正面には二宮金次郎像と二宮尊徳像(回村像)が置かれています。

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左 : 敷地内にある仰徳記念館。大講堂とは性格の違うイベントホール的な建物。東京から移築。

中 : 仰徳学寮。現在は大日本報徳社の事務室。冬や夏は大変そう。

右 : 淡山翁記念報徳図書館。私立(1927-1952)と掛川町立/市立(1952-1969)の図書館。

 

 

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イベント当日の2月4日も前日と同じように青空で風もありませんでした。8時に大日本報徳社大講堂に着くと、すでに掛川市の方々が設営を進めていました。これまでに参加したウィキペディアタウンと比べても準備は大掛かりです。今回は参加者にPCの持参を呼びかけておらず、掛川市がノートPCを準備しています。

 

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9時を過ぎると参加者が続々と集まってきました。島田商業高校の生徒11人も含めて参加者は50人を超えています。イベント開始は9時30分。国際大学グローバル・コミュニケーションセンターの庄司昌彦先生からオープンデータについての説明を受け、続いて掛川市役所の戸塚さん、オープン川崎の小俣さんから今回のイベントの内容を聞きます。戸塚さんのようにくだけた司会をしてくれると参加者は気が楽になる。

 

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午前中は施設見学。大日本報徳社の敷地内にある「淡山翁記念報徳図書館」や「仰徳記念館」を見学し、大日本報徳社から目と鼻の先にある掛川城を回ります。施設ごとに説明を聞くことはなく、また掛川城天守には上らなかったため、まちあるき要素は少なめでした。大講堂では大日本報徳社の社員の方から、掛川城では掛川市役所の方から解説を聞いています。

 

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 掛川城から大日本報徳社に戻ると、掛川市内でドローンスクールを運営されている長尾機設の方によるドローンの実演がありました。ほぼ真下にいる参加者を空撮したり、隣の掛川城を空撮したり。その後大講堂に戻ってお昼ごはんを食べました。希望者は天丼などの出前を取っています。

午後からはウィキペディアの執筆作業。約30人を5グループに分け、3グループは大日本報徳社に関する執筆を、2グループは掛川城に関する執筆を行います。

 

竹の丸を見学する

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私たちの班は掛川城の「竹の丸」を作成することになりました。午前中の施設見学時には訪れていないため、まずは竹の丸まで足を運んでみました。上が「竹の丸」の離れ。1階の左側と2階部分を増築していることがよくわかります。

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左 : 離れの1階。女中部屋の姿見(鏡)に障子が映っています。

中 : 離れの2階。バルコニーや(初期の)ステンドグラスがあります。

右 : 離れの1階。不思議な動きをする雨戸。

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左 : 離れの2階。一枚板ですが軽快に動く戸。

中 : 離れの2階。斜めに動く戸。

右 : ガイドさんから話を聞く高校生たち。

 

「竹の丸」は天正年間に造成された郭の名前であり、この場所には家老屋敷があったとされています。明治時代には商人の松本家がこの場所に屋敷を建て、この松本家の本宅も「竹の丸」と呼ばれました。昭和になって屋敷は掛川市に寄贈され、貸しスペースなどに使用されていたようですが、10年ほど前からは一般公開されています。

このように「竹の丸」という言葉には、掛川城の郭としての「竹の丸」、松本家の本宅としての「竹の丸」という2つの意味があるようですが、掛川市のウェブサイトはわかりやすいとはいえません。

大正末期に増築された離れに見どころが多く、ガイドさんにはこの屋敷のすごい部分をいくつも教えてもらいました。ひとりで見て回っただけでは見逃してしまう部分ばかり。情報を発信するために現物を見て説明を聞くのは重要です。

www.city.kakegawa.shizuoka.jp

 

 執筆作業・成果発表

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「竹の丸」から戻ってきたら14時30分でした。執筆作業終了は16時。急いで文献を探したのですが、事前に用意してくださった文献の中に「竹の丸」に関する言及は一切ありませんでした。これは苦しい。徒歩1分の掛川市図書館まで行き、レファレンスを行っていくつかの文献を紹介してもらいました。この数冊の文献と掛川市ウェブサイトなどを出典として新規作成します。

「竹の丸」はその定義自体が難しいのですが、建築物(近代和風建築)であると考えて無鄰菴 - Wikipediaの内容を参考にしました。自分の頭で考えないことには前に進まないイベント。編集に慣れているウィキペディアンでもやや難しい題材だったのに加えて、1時間半で文献探しと文章作成を行うのは厳しかったのですが、無事に「竹の丸」というページができあがりました。

ウィキペディアタウンの執筆作業は大講堂の大広間に机といすを設置して行います。小部屋では同時にアイデアソンやハッカソンを行いました。ウィキペディアタウン×アイデアソン×ハッカソンで約70人が同じ施設内でPCの作業をしてたことで、別の班では執筆中のデータが飛ぶという悲劇もあったようです。(その辺詳しい方は原因とか対策とかを共有してほしいです)

 

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16時には仰徳記念館に移動して成果発表。ウィキペディアタウンに参加した約30人は、高校生も含めて全員が前に出て何らかの発表を行いました。島田商業の高校生にとって今回のイベントは、授業の一部ではなく自由参加。これからもオープンデータの取組みや地域文化の発信に関わってくれる子がいればうれしいですね。こんご島田市ウィキペディアタウンを開催するのであれば、高校生も他の参加者に自分の知識を提供する側になることが期待されます。

 

成果物

掛川城 - Wikipedia(加筆)

大日本報徳社 - Wikipedia(加筆)

掛川市立図書館 - Wikipedia(加筆)

竹の丸 - Wikipedia(新規作成)