振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

猪谷千香氏講演会「つながる図書館・最前線!」を聞く

安城市/猪谷千香氏講演会「つながる図書館・最前線!」

 

2016年12月4日(日)、安城市中央図書館で開催された猪谷千香さんの講演会に行った。前半の1時間は猪谷さんの講演会、後半の1時間は猪谷さんと神谷学安城市長の対談で、岡本真さんがコーディネーターを務めた。

 

新館への移転間近の安城市図書

現行の安城市中央図書館は1985年開館。2017年1月末で現行館が閉館し、6月1日には新館(複合施設)が開館する。現行館の閉館まで2か月を切っており、新館への期待が高まっている。新館の図書館部分はもう内装工事に入っているらしい。

twitterには図書館の公式アカウントと非公式アカウント(?)がある。公式アカウントのほうは前からフォローしていて、新館の建設状況の「定点観測」を楽しみにしている。公式キャラクター的な女の子はイチジクの被り物をしているのだが、他地域の人にはナスにしかみえないと思う。非公式アカウントは12月1日に「安城でもウィキペディアタウンイベントやりたい」とつぶやいてくれていた。

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安城市中央図書館に行く

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安城市中央図書館の南側には公園がある。左の写真はこの日撮影。公園の奥に見えている白い建物が図書館。右の写真は夏に撮ったもの。見ての通りまだ新しい。1985年開館なので31年しか経っていない。

猪谷さんの講演会の定員は80人だった。図書館総合展の翌日に申し込んだときは12番目だった。集客をやや心配していたが杞憂に終わる。図書館2階の会議室に並べられた椅子はほぼすべて埋まった。年齢層は高めであり若者はほとんどいなかったが、新図書館に関心のある市民が多いようだ。

 

講演会&対談を聞く

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前から2列目に座る。壁際には本日の講演会に関連する書籍が並べられていた。猪谷さんの講演の内容を踏まえて、講演会中にも新しい本がどんどん追加されていたらしい。行動力と司書力の高さ。

講演会終了後に確認すると、ライブラリー・リソース・ガイドが全冊置いてあった。愛知県内でLRGを置いている公共図書館は県図書名古屋市鶴舞豊橋・大府と安城だけらしい。なお、1階の雑誌コーナーには『図書館雑誌』『国立国会図書館月報』『図書館の学校』『現代の図書館』などが置いてある。永年保存の雑誌が多い。蔵書だけ見てもこの自治体は図書館に力を入れていることがよくわかる。

 

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安城市中央図書館【猪谷千香講演会「つながる図書館・最前線!」】 2016/12/4 - Togetterまとめ

 

講演会&対談の内容はふむさんがTogetterにまとめてくださっている。猪谷さんの講演は、昨今の図書館を取り巻く状況について説明した後に、武蔵野市富山市、海老名市、伊万里市舟橋村瀬戸内市海士町紫波町などの事例を紹介していく。この時期にやるべき内容の講演だったのだろうか。現行館閉館間際、新館移転半年前というタイミングでは、講演のテーマも難しいのだろうかと感じた。

 

猪谷さんと神谷学安城市長の対談では、市長が新複合施設の状況や、アメリカ&韓国&北欧の図書館を視察した経験談を紹介。新複合施設をまちの核としたいという熱い思いが伝わってくる。

日本各地の図書館も多数視察されているよう。もっとも印象残っているのは「武雄市図書館」で、武雄がまちづくりの起爆剤としてメディアに取り上げられたことが安城市の新図書館構想の追い風になったという。ただし武雄の評価についてはとても慎重な言い方をされているし、安城市は新館も直営を選択している。

現行館は駅からやや遠く、書庫もいっぱいであるとはいえ、現行館開館からたった31年で新館移転を決めたのは大きな決断だったと思う。もともと西三河地方では随一の図書館。能力のある方たちが新館で何をするのか期待している。

 

おわりに

司書さんや館長さんに挨拶するタイミングがあった。司書さんはウィキペディア安城市図書館 - Wikipedia(3か月前に作成)というページが作成されたことを知ってらした。この記事が「ある」ことではなく、「さいきんできた」ことを知ってらした。前述の非公式twitter「りぶっくま」の中の人も「さいきんできた」ことを知ってらした。

たったこれだけのことでも、これらの方々がウィキペディアに興味を持ってくださっていること、とても感度の高い方々であることがわかる。来年度には安城市でもウィキペディアタウンが開催できるかもしれない。