東京美術学校長を務めた洋画家、和田英作 - Wikipedia(1874-1959)を加筆した。
『渡頭の夕暮』1897年
4月23日から6月5日の刈谷市美術館(愛知県)を皮切りに、「和田英作展」は本年中に佐野美術館(静岡県)、神戸市立小磯記念美術館(兵庫県)、都城市立美術館(宮崎県)と4県を巡回する。このように大規模な巡回展が組まれる画家としては記事が物足りなかったため、主に展覧会図録を使って加筆を試みた。
上は加筆前(ほぼ全体)、下は加筆後(一部)。
ウェブサイトからの加筆
まずは東京文化財研究所データベース(出典は『日本美術年鑑』)を使って経歴を加筆する。芸術家の記事を作成するときにはいつも東文研のデータベースにお世話になる。次にポーラ美術館と刈谷市美術館の公式サイト上にある「和田英作」のページを参照し、『日本美術年鑑』の記述と相違がないか確認する。まずはウェブサイトを使ってまとまりのよい記事にしてしまうことにしている。
展覧会図録からの加筆(その1)
次に展覧会図録を使って加筆する。和田の回顧展は1985年、1998年、2007年、2016年に開催されている。刈谷市美術館に隣接する刈谷市中央図書館で確認すると、2007年版の図録を所蔵していた。
巻末の年表から重要な要素を抜き出して文章に直し、「経歴」節を大幅にボリュームアップする。明治美術会展、白馬会展、文展帝展日展と多くの展覧会に出品した作家であるため、「展覧会」節を設けて出品した作品を列挙する。洋画壇の重鎮として審査員/委員などとして活躍した人物であるため、「役職・会員・審査員」節も設ける。文化勲章や文化功労者などの「受賞・受章」節も設けた。
死去した1959年から50年以上が経過しているため、多くの作品の画像がWikimedia Commonsにアップロードされている。人物画・肖像画・静物画・風景画などから重要そうな作品を選んで「ギャラリー」節に陳列する。
この段階で気になったエピソードを洗い出す。
・赤坂離宮の壁画を描いたこと
・東京駅の壁画を描いたこと
・慶應義塾大学図書館・旧館のステンドグラスの原画を担当したこと
・『憲法発布記念式』が歴史教科書に掲載されていたこと
この辺りはググってヒットしたウェブサイトを元に修正する。赤坂離宮を主題とする書籍、東京駅を主題とする書籍、慶應義塾大学を主題とする書籍などを確認すると、さらに文章を深められると思う。今回はそこまで時間をかけない。
ここまでの加筆を5月12日に投稿する。4月23日時点で2,000バイトだった「和田英作」は23,000バイトとなった。
相互貸借を申し込む
5月後半は瀬戸内市立図書館や伊那市立図書館などの図書館記事の準備をしており、和田英作からはいったん離れていた。6月初頭には刈谷市美術館で「和田英作展」を観た。過去の展覧会の図録がないか確認したところ、1985年版と1998年版図録について、事務所で保管していたものをめくらせてもらうことができた。
美術館ではがっつり読むことができなかったため、隣の刈谷市図書館で相互貸借を申し込むことにする。1985年版と1998年版図録が愛知県内の図書館にないことは確認済み。どこの図書館に依頼するかは司書さんにお任せする。
結局鹿児島県内の大学と静岡県内の大学から計3冊を取り寄せることになり、郵送費3,300円を切手で支払う。
6月初頭にはようやく「和田英作展」を観た(それまで観ていなかった)。学生時代から晩年まで一貫して穏やかで保守的な画風。富士山やバラの花を書き続けた後半生よりも、前半生の人物画の方が魅力的だった。
展覧会図録からの加筆(その2)
2館から取り寄せた3冊の図録を元に加筆する。「経歴」節をより詳しくした上で、新たに「画風」節と「評価」節を設ける。単調な文章にアクセントを付けるために、「評価」節にはTemplate:Quotationを用いている。さらに画像を増やし、結局この記事には21枚(うち作品17枚)の画像を使用した。一度目の加筆で誤ってしまった出生地を修正している。
2,000バイトの記事が一度目の加筆で23,000バイトとなり、二度目の加筆で35,000バイトとなった。これで加筆は終了とし、6月18日に投稿した。
『三保富士』1953年
課題
・展覧会図録の情報に偏っている。雑誌論文、当時の新聞記事、郷土資料などにあたっていない。
・2016年の展覧会図録の情報を反映させていない。
・「赤坂離宮」「東京駅」「慶應義塾大学図書館」「東京美術学校」「日展」「明治期の洋画壇」「鹿児島県の画家」「富士山を描いた画家」など、複数の視点から文献を探せば興味深いエピソードが多く見つかるはず。
この記事の品質は「Wikipedia:強化記事」以上、「Wikipedia:月間強化記事賞」以下、「Wikipedia:良質な記事」以下だと思う。文献はある程度豊富にあり、題材としては良質な記事を狙える。