振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

WLE執筆コンテストを振り返って

2015年11月から12月にかけて、Wikimedia Españaが主催したWLE 2015 Writing Contest - Metaに参加した。全言語版を対象とした執筆コンテストで、「イベリア半島の地理記事」を増やすことで得られるポイントを競う。

得られるポイントは新規作成で1ポイント、1000バイト分の加筆で1ポイント。つまり、4,500バイトの新記事を作成すると1+4=5ポイントが得られ、既存記事に3,600バイト分の加筆を行うと3ポイントが得られる。あらゆる言語版からの参加者を見込む以上、この種の執筆コンテストは「ルールは簡潔に」が原則。

 

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WLE執筆コンテストは11月7日に開始されたが、私がイベントの存在に気付いたのは11月17日頃だった。11月15日に英語版「WikiProject Spain」に書き込まれた開催告知で知った。2014年にアカウントを作成してからこのようなイベントを待ち望んでいたため、ウィキペディア・アジア月間への参加を中断してWLE執筆コンテストに専念することにする。

jawpで精力的に記事を作成しているウィキペディアンがいることを主催者に知ってもらうこと、スペイン関連記事を精力的に作成しているウィキペディアンがいることをjawpコミュニティに知ってもらうこと、この2つはイベント参加時から意識していた。

10位までに入ると副賞として景品がもらえるイベントだったため、「10位以内」を目標に記事作成を開始する。Wikimedia Espanaが前年に行っていた執筆コンテスト、Monuments of Spain Challengeには54人が参加し、10位の参加者は190ポイントを得ていたことを知る。WLE執筆コンテストの参加者数の伸びは低調だったため、最終日までに最低200ポイントを稼ごうと決める。

 

 

11月18日時点でWLE執筆コンテストへの参加者は10人。参加者の参加言語はスペイン語が多いが、エスペラントアゼルバイジャン語もいる。11月20日には初のイベント対象記事としてウリバリ=ガンボア貯水池を作成し、参加者リストの11人目に名前を書き込む。初登場時には12ポイントで6位(11人中)。夏季と冬季に1枚ずつ、とてもきれいな写真が掲載されている記事で、文章量は多くなかったが新着記事にも選んでもらった。

次の対象記事はハイスキベルラ・ルーヌ。いずれもピレネー山脈最西端部、スペインとフランスの国境付近にあり、バスク地方では名の知られた山。ハイスキベルはGoogle Mapで山体を見た時の驚きを伝えられていないのが残念。スペインがフランスの喉元に突き付けたカミソリ、という表現がぴったりの尾根を持つ。23日には28ポイントに増え、4位(13人中)に浮上した。

この時点で開催期間の2/3が終わったはずだが、参加者数は13人と伸び悩んでいた。「10位以内」という目標が低すぎることに気付き、できるだけ上を目指すことにする。

 

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人造湖らしくないウリバリ=ガンボア貯水池 Wikimedia Commonsより、撮影者:Unaitxu)

 

続く1週間に新規作成したのは21記事。ガステルガチェ、サンタンデール湾、ガリェゴ川、セグラ川、アニ峰、バゾス川、ハロン川、カバニェロス国立公園、ピコス・デ・エウロパ国立公園、モンフラグエ国立公園、ラ・グラシオーサ、トーレ・セレード、シンカ川、シル川、バニョラス湖、ガリシア大西洋諸島国立公園、ペドラフォルカ、ウルクル、ヴィニュマール、アレグランサ島、オンス島。さらにシエラネバダ山脈を加筆した。

文章量の少ない英語版からの翻訳で、効率よく多くの記事を作成することを重視した。ガステルガチェは「書き下ろし」かつ「美しい写真あり」だったが、新着記事にはならなかった。11月30日時点で205ポイントまで増え、2位(14人中)となる。1位のMarisaLRさん(スペイン人)はひとりぶっちぎっていたため、2位でフィニッシュしようと決める。

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(島に向かって石段が続くガステルガチェ Wikimedia Commonsより、撮影者:multisanti)

 

その後12月2日までに新規作成したのは12記事。オンス島、セントラル山系、カディス湾、ラ・マンガ、カブレラ島、メサ・デ・トレス・レジェス、ベルレンガ島、バレアレス海、オルデサ・イ・モンテ・ペルディード国立公園、コルンブレテス諸島、アイレ島、マデス群島。ポイント獲得の効率を重視したため小規模な記事が多くなる。

一度原点に戻り、重要な記事の加筆を行う。エブロ川、タホ川、ミーニョ川、ピレネー山脈ビスケー湾、アネト山、グアダルキビール川、カンタブリア山脈、グアディアナ川を大幅加筆。重要な山や川であっても日本語文献は少ない。朝倉世界地理講座、コンサイス外国地名事典、英語サイト.. ほとんど記述がないのがつらい。

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(エブロ川とヌエストラ・セニョーラ・デル・ピラール聖堂。おとぎの国に迷いこんだようなこの写真はいつ観ても笑ってしまう。Wikimedia Commonsより、撮影者:Jiuguang Wang

 

さらにロザス湾、バスク山脈、チンドキを新規作成。12月4日時点で427ポイントで2位(15人中)。開催期間はあと2日。アンボト、ビティウザス群島、ジムネジアス群島、アルチャンダ山、シエラ・モレナ山脈、ポセッツ峰、イベリコ山系、ベティコ山系、プレベティコ山系、グレドス山脈を新規作成して新規作成分は終了。マヨルカ島イベリア半島を大幅加筆し、加筆分も終了。

12月6日に開催期間が終了。結局600ポイントで15人中2位。1位のMarisaLRさん(スペイン語版)が704ポイント、3位のChairego apcさん(ガリシア語版)が159ポイントで、目標どおり2位となった。

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マヨルカ島のホテル群 Wikimedia Commonsより、撮影者:Dirk Vorderstraße)

 

Wikimedia Españaのサンティアゴ・ナバーロ代表(User:Millars)自らがポイント数/順位の確認にあたった。副賞送付にあたって本名や住所を確認するためのメールも代表本人から来た。WLEコンテストの開催期間終了は2015年12月6日、メールが届いたのが2016年2月末、副賞が届いたのが6月4日。言語版をまたぐイベントを開催することの大変さがわかる。

Wikimedia Españaは代表がFA7個持ちの執筆者かつ管理者/ビューロクラット、副代表もFA21個持ちの執筆者かつ管理者/ビューロクラットとすごいのだけど、この人たちが執筆/管理/団体活動に専念できるような有能な事務方を見つけてほしいと思う。

 

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2位の副賞。送り主はWikimedia Españaではなく、アメリカ・サンフランシスコのWikimedia財団オフィスマネージャー。手前がウィキペディアTシャツ、奥がウィキペディアジャケット(パーカー)。Wikipedia Storeで購入すると、それぞれ20USドル、40USドル也。