振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。図書館におけるウィキペディアタウンの開催を推進しています。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

「よさのWikipediaプロジェクト ちりめん街道#3」に参加する

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(写真)加悦鉄道資料館。2019年9月撮影。

 

2019年11月24日(日)、京都府京丹後市与謝野町加悦の加悦鉄道資料館で開催された「よさのWikipediaプロジェクト ちりめん街道#3」に参加しました。

丹後地方に関する事物についてWikipediaOpenStreetMapで編集する「edit Tango」内、「よさのWikipediaプロジェクト」の第3回イベントです。一連のイベントは与謝野町加悦にある重要伝統的建造物群保存地区「ちりめん街道」に関する記事を題材とし、今回は3人の参加者が1記事ずつ新規作成しました。私は会場である加悦鉄道資料館そのものの記事を作成しています。

 

新規作成された記事

加悦鉄道資料館 - Wikipedia

旧尾藤家住宅 - Wikipedia

天満神社 (与謝野町) - Wikipedia 

 

1. 加悦鉄道資料館

1.1 加悦鉄道資料館の歴史

加悦鉄道は1926年(大正15年)に開業して1985年(昭和60年)に廃線となった鉄道路線です。加悦鉄道廃線後の加悦駅舎はカヤ興産本社として使用されていましたが、加悦町が町役場を建設する際、1998年(平成10年)から2001年(平成13年)に曳家されました。元の場所からは60m北に移動しており、また入口の向きが180度変わっています。

曳家後には加悦町の観光案内所として使用され、やがてNPO法人加悦鐡道保存会が運営する加悦鉄道資料館となったようです。徐々に観光案内所から資料館に移行されたようで、加悦鐡道保存会の方に聞いても開館時期は判然としませんでした。

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(写真)加悦鉄道資料館内部。玄関ホール。旧待合室。

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(写真)加悦鉄道資料館内部。(左)第一展示室。旧加悦駅事務室。(右)第二展示室。旧加悦鉄道本社事務室。いずれもCategory:Kaya Railway Museum - Wikimedia Commons」にアップロードした写真であり、Wikipedia記事「加悦鉄道資料館」にも載せている。

 

1.2 Wikipedia記事の作成

今年9月のこまねこまつりの日にも加悦鉄道資料館を訪れており、Wikipedia記事のトップ画像は9月に撮影した写真を用いています。しかし、トップ画像以外の写真は今回のイベント中にパソコンから離れて撮った写真です。9月に訪れた際には被写体が明確でない写真ばかり取ってしまいましたが、Wikipediaに記事を作成することを意識すると撮るものがかわります。

資料館の開館日にはNPO法人加悦鐡道保存会の方が常駐しています。会場となった資料館そのものを編集対象としたことで、文献を閲覧している際に浮かんだ疑問点をその場で質問することができました。ありがたい。

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 (左)腕木式信号機。(右)国鉄時代のコンテナ。いずれもCategory:Kaya Railway Museum - Wikimedia Commons」にアップロードした写真であり、Wikipedia記事「加悦鉄道資料館」にも載せている。

 

今回作成されたWikipedia記事「加悦鉄道資料館」「旧尾藤家住宅」「天満神社 (与謝野町)」は、いずれもWikipediaの新着記事に選出されてメインページに掲載されました。Wikipedia日本語版では1日約100記事が新規作成されますが、利用者間の推薦や投票を経て、1日3記事から5記事がメインページに掲載される仕組みです。

加悦鉄道資料館の記事が作成された11月24日から11月27日までのページビューは1日あたり約40PVでしたが、11月28日の23時頃から11月29日の23時頃までメインページに掲載されたことで、11月28日には約350PV、11月29日には約800PVに跳ね上がっています。

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(図)記事「加悦鉄道資料館」のページビュー分析

 

 

2. 加悦SL広場

2.1 加悦鉄道資料館そっくりの展示室

イベント後には加悦SL広場を訪れました。加悦鉄道に関する小規模な展示物は加悦鉄道資料館に集めてありますが、車両など大規模な展示物は加悦SL広場にあります。現地に着いて驚いたのですが、加悦SL広場の展示室は加悦鉄道資料館そっくりでした。受付の方に聞くと1996年(平成8年)に加悦駅舎を "復元" して竣工した建物とのことです。1階の両翼にせり出した展示室の大きさなどは "本物" と異なっており、"復元" というより "モチーフ" にしたというべきじゃないかな。

1996年時点の("本物" の)加悦駅舎はどういう状態だったのでしょう。加悦鉄道から改称したカヤ興産の本社として使われていたようですが、保存活用の方向性は定まっておらず(加悦町指定有形文化財への指定前)、所在なげな状態だったのではないかと思われます。そのような状況で加悦駅舎を "モチーフ" にした展示室を建設したようです。

1990年代後半、加悦町は加悦駅舎の場所に町役場を建設することを決定します。加悦SL広場には加悦駅舎を "モチーフ" にした建物があるのだから、町役場の建設に邪魔な "本物" は取り壊してしまうという選択肢もあっただろうと思います。しかし、1998年(平成10年)から2001年(平成13年)にはあえて曳家による移転を行い、"本物" を資料館として残す選択肢を取ったようです。お金も時間も労力もかかる方法だと思いますが、1996年以後に文化財の保存に対する意識の変化があったということでしょうか。

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(写真)加悦SL広場の展示室。加悦駅を "モチーフ" としている。

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(写真)旧加悦鉄道2号機関車。1873年明治6年)製造で国内最古級の蒸気機関車だそう。国の重要文化財