振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

小牧市立図書館を訪れる

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(写真)小牧市立図書館。Wikimedia Commonsより。撮影 : Junichi。

 

2019年2月、愛知県小牧市小牧市立図書館を訪れました。小牧市名古屋市の北12kmにある人口15万人の自治体。小牧市街地のすぐ西側には標高86mの小牧山があり、山頂には模擬天守が市街地を見下ろしています。

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 (地図)小牧市の位置。©OpenStreetMap contributors

 

小牧市立図書館を訪れる

小牧市立図書館の施設

小牧市立図書館には何度か訪れていますが、今回訪れた時は図書館の外観に違和感を覚えました。以前と比べてさっぱりしたような。それもそのはず、大階段の右手にあった樹齢60年のサクラの大木が2018年9月の台風21号で被害を受け、やむなく伐採されていたのでした。

このサクラは図書館のシンボル的存在であり、アンチ山下市長派からは「市の財産であるサクラを伐採したことについて事実関係を調査しろ」との声もあるようです。過去数年の小牧市は図書館の移転などをめぐって揺れています。小牧市立図書館 - Wikipediaラピオ - Wikipediaなど、一部のWikipedia記事は山下市長に対する批判が延々と書き連ねてある酷い記事になっています。2018年12月には前者を加筆して多少はマシになりましたが、それでもまだまだ酷い。

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(左)2019年1月の小牧市立図書館。(右)2016年7月の小牧市立図書館。階段右側にサクラの大木。

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(写真)2018年夏に伐採されたサクラの切株。

 

小牧市立図書館の現行館は1978年1月に開館しました。設計は象設計集団。ギザギザした外観が特徴的であり、利用者はその正面にある大階段から入館することになります。1階からの入館も可能ではありますが、基本的には大階段を上って2階から入館することに。大階段の上り下りを強いるのは子どもや高齢者を図書館から遠ざけているような気がします。

館内で印象的なのは絵本コーナー。2階フロアより階段8段分低い小部屋になっています。ただし小牧駅前には蔵書4万1000冊のうち3万6000冊が絵本というえほん図書館 - Wikipediaがあるため、小牧市立図書館内の絵本コーナーを利用する方は少ないかもしれません。屋外から見えるギザギザした部分の一部はテラス席になっていますが、はっきりいって使いにくそう。

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 (左)ギザギザ部分。一部はテラス席。(右)1階の入口。

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(左)2階の閲覧室。(右)2階のテラス席。

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(左)多読コーナー。(中)さいころ。(右)絵本コーナー。ここに掲載した写真の多くはCategory:Komaki City Library - Wikimedia Commonsに投稿済。



地域資料の収集・展示

2階の カウンター前には「小牧市の郷土特集」という常設(?)の展示コーナーがありました。展示されている文献には情報カードが添えられており、「小牧市内のまちあるきイベントに参加したスタッフが製作している」とのこと。郷土資料に関するパスファインダーのような役割を果たしているようです。まだまだ試行錯誤中という感じですが、今後の発展に期待です。

右側の写真は郷土史家の津田応助 - Wikipediaの蔵書を収蔵していた「象山書庫」(しょうざんしょこ)の情報カード。象山書庫は小牧市立図書館の200m南東にありましたが、2017年7月以降に取り壊されてしまったらしく、私が訪れた際には建物はありませんでした。跡地には2017年11月竣工のアパート「セイクリッド」が建っています。

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 (写真)展示「小牧市の郷土特集」。小牧市の題材に関する情報カード

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(左)2015年12月の象山書庫。Wikimedia Commonsより。撮影 : Mobnoboka。(右)2017年7月に撮影されたGoogleストリートビューによる象山書庫。©2019 Google

 

3階の郷土資料室には「小牧市記事索引」「小牧の写真」という索引目録がありました。前者については2011年に第1版が、2013年に第2版が、2015年に第3版が発行されており、後者は2017年に発行されています。小牧市にあった2つの映画館についても掲載されていました。いまどきこの手の索引目録を発行するのは珍しい気がしますが、私のように郷土資料室にこもって調べものをしたい者にとってはとてもありがたい資料です。

なお、小牧市立図書館の運営は図書館流通センター(TRC)に業務委託されています。2階のカウンターでTRCのスタッフに写真撮影の可否について尋ねると、3階の事務室に行くように促されます。事務室で写真撮影申請書に記入するのですが、最終的に申請について判断を下すのは小牧市職員のようでした。

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 (写真)小牧市の題材に関する索引目録。(中)「小牧市記事索引」。小牧劇場も掲載されている。(右)「小牧の写真」。

 

小牧市の新図書館建設計画

小牧市立図書館の現行館内には、「新図書館の開館まであと2年半」という掲示がありました。小牧市の新図書館は基本構想、基本計画、基本設計までが完了した状態であり、2018年10月時点で開館まで2年半だそうです。2019年度・2020年度に建設工事を行い、2020年度末に開館するそうです。場所はラピオの東側。名鉄小牧駅からはペデストリアンデッキで直結することで、愛知県内では豊田市中央図書館と同じくらい自治体中心駅に近い図書館になります。

www.city.komaki.aichi.jp

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(地図)小牧市立図書館の現行館所在地と新図書館予定地。©OpenStreetMap contributors

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(左)新図書館の開館を伝える掲示。(右)撮影許可証。

 

小牧市の映画館

小牧市には2館の映画館がありました。それぞれ明治時代開館の芝居小屋が前身で、戦中または戦後に映画館化したようです。

カムカム劇場/アサヒ映画劇場・ひかり映画劇場(1946年-1972年)

上之町にあった映画館。前身は芝居小屋の甲子座。跡地は駐車場。

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小牧劇場(1941年-1972年)

下之町にあった映画館。前身は芝居小屋の小桜座。跡地はマンション「クレストステージ小牧」。なぜだかGoogle mapやYahoo地図に名前が出てこない三十番神宮の脇にある。劇場は上街道に面しており、三十番神宮の門前には味のある居酒屋が健在です。

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(左)上街道の下之町。左のマンションが小牧劇場の跡地。(右)上街道沿いにある岸田家。小牧市指定有形民俗文化財

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