（写真）豊中市立岡町図書館。地下1階・地上4階建。
「Wikipedia ARTS 国立国際美術館 ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代」の翌日、 2018年12月16日（日）には北摂地域の図書館を訪れました。
西宮市立北口図書館（兵庫県）、宝塚市立中央図書館（兵庫県）、川西市立中央図書館（兵庫県）、豊中市立岡町図書館（大阪府）の4館。いずれも初訪問です。
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（図）豊中市の人口推移。Wikipedia「豊中市」より。出典は国勢調査。
岡町図書館の施設
豊中市立岡町図書館は40万都市豊中市の中央館的位置づけの図書館。豊中市では戦争末期の1945年3月に図書館組織が設立され、1958年に現在地に移転。1969年に第3代図書館として現行館が竣工し、1991年に改修工事を行ったようです。愛知県でもっとも建築年が古い中央館は1969年竣工の蒲郡市立図書館であるため、豊中市立岡町図書館も大阪府最古級の図書館ではないかと思われます。
参考写真。（左）1945年-1958年の初代図書館。（右）1958年-1969年の第2代図書館。出典は1963年刊行の『豊中市史』。公表後50年を経過した団体名義の著作物であるためパブリック・ドメイン(PD)と判断した。
現在は書庫となっている地下書庫は、1991年以前は食堂だったようです。1991年以前には「ダムウェーター」（小荷物専用昇降機）もあったみたい。単純な昇降しかできないタイプのダムウェーターって新しい図書館にはあまりないですよね。バックヤードを見せてもらいましたが、ダムウェーターがあった部分は倉庫になっており、昇降機の開口部はふさがれていました。司書のUさんが「なぜダムウェーターがあったのだろう」と言われましたが、確かに。昔は使ってて今は使ってないのはなぜだろう。
参考写真。（左）刈谷市城町図書館の小荷物専用昇降機。1970年開館。（右）江南市立図書館の小荷物専用昇降機。1976年開館。
以前に岡町図書館を見学した名古屋市図書館のSさんは、岡町図書館2階の書架配置が「コ」の字型であることを指摘したそうです。図書館情報学用語辞典「書架配置」（コトバンク）でいうところの「櫛型」でしょうか。カウンターが利用者の動きを把握しやすくなる気はします。一方で3階は全国の公共図書館でよく見る書架配置。図書館情報学的に言うとこれは「壁面型と並列型の組み合わせ」なんですね。勉強になりました。
（画像）岡町図書館2階の「コ」の字型書架配置のイメージ。※実際はもっと複雑です。
図書館や地域について記録する取り組み
1996年に刊行された『資料集・豊中の図書館50年』は440ページ超の大ボリューム。2010年に刊行された『動く図書館60年のあゆみ』も充実した図書館史です。
各年度の事業年報は活動報告と統計の2冊セットであり、最新号の活動報告では2017年に開催されたウィキペディアタウン&マッピングパーティ「とよ散歩～ウィキペディアタウンin豊中～」も言及されていました。活動報告には図書館に関するメディア掲載の一覧もあり、読売新聞などの新聞記事はもちろん、図書館系雑誌への掲載やタウン誌への掲載も網羅していました。図書館の歴史・活動を記録して公開する意識が高い。
レファレンス協同データベースに登録した記録への被アクセス数は、全国の市町村立図書館の中で第1位だそうです。図書館公式サイトでは豊中市に関する新聞記事の見出し検索を提供しています。自治体境界を超えて北摂地域の写真を収集・記録・公開するデジタルアーカイブ事業の「北摂アーカイブス」は、全国の図書館がまねしてほしい取り組みです。
（写真）阪急岡町駅前の岡町商店街。反対側まで歩きました。
