振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。図書館におけるウィキペディアタウンの開催を推進しています。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

「ウィキペディアタウンinしまだ」に参加する

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(写真)島田市博物館。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このブログにおける文章・写真は クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CC BY-SA 4.0)の下に提供されています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。地図の出典はOpenStreetMapであり、その作者はOpenStreetMap contributorです。

 

静岡県島田市を訪れる

 2018年2月10日(土)、静岡県島田市で開催された「ウィキペディアタウンinしまだ」に参加した。このイベントは島田市教育委員会が主催したもので、情報ビジネス科を持つ地元の静岡県島田商業高校の生徒6人に加えて、行政関係者、図書館関係者など、計20人弱が参加している。一般からの参加者募集は行っていない。

 ちょうど1年前の2017年2月4日には掛川市で「オープンデータデイ2017 in 掛川 プレイベント」に参加した。この時にも島田商業高校の生徒が参加しており、また個人的に島田市立島田図書館を見学して館内の写真を撮った。

 8時30分頃にJR島田駅に着き、駅から徒歩5分の場所にある大井神社を散策。県社だけあって広い。今回の編集対象である島田大祭で披露される大奴の銅像があった。

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(写真)大井神社にある「島田大祭 大奴」の銅像

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(写真)講師による説明と成果発表の会場であるしまだ楽習センター。建物4階。(右)編集ワークショップの会場である島田市立島田図書館。建物3階。

 

ウィキペディアタウンinしまだのスケジュール

09:30-10:15 しまだ楽習センターで講師による説明(その後マイクロバスで移動)

10:30-12:15 島田市博物館・川越遺跡で現地調査(その後マイクロバスで移動)

12:15-13:00 悪口稲荷で現地調査(その後徒歩移動)

13:00-13:30 図書館で昼食

13:30-16:10 島田市立島田図書館で編集ワークショップ(その後徒歩移動)

16:20-17:00 しまだ楽習センターで成果発表

 

 今回のスケジュールは上の通り。集合場所は島田駅から徒歩1分のしまだ楽習センター。講師の説明を受けた後、2km離れた島田市博物館までマイクロバスで移動し、博物館と島田宿大井川川越遺跡を見学。再びマイクロバスで悪口稲荷まで移動し、悪口稲荷を見学して徒歩で島田市立島田図書館に移動。編集ワークショップを終えると、徒歩で楽習センターに移動して成果発表を行っている。

 この日の講師は海獺(らっこ)さん。 Wikipediaを“ユーザ自身が情報発信を行うサイト”と位置付けて、Facebooktwitter2chクックパッドなどと同列に置いた。主要な参加者が高校生ということで、強調したポイントは「ネットリテラシー」。ウィキペディアの仕組みを理解して編集に携わることで情報リテラシーが向上するとした。「著作権」を強調することが多いくさかきゅうはちさんやMiya.mさんなどの講師とは一味違った説明だった。

 

 東海道における23番目の宿場である島田宿は現在の中心市街地にあった。中心市街地から東に約2km、大井川の東岸には「島田宿大井川川越遺跡」(かわごしいせき)がある。施設など約20か所と街道そのものが国の史跡として指定されている。島田宿は東海道を往来する旅行者のための宿や茶店が立ち並んでいたエリアであり、「川越遺跡」は旅行者を肩車して大井川を越させる川越人足のための待合所が立ち並んでいるエリア、ということらしい。

 現在の中心市街地に近世の島田宿を想起させるような建物はないが、「川越遺跡」は1966年に国の史跡に指定されているだけあって、川越制度全体の事務所である川会所(かわかいしょ)、10の組に分かれていた川越人足のための番宿(待合所)が当時のまま残されている・・・のかと思ったら、これらの番所は近世の建物ではなく明治以降に復元されたものらしい。なんだそれは。なお、番宿のうち数軒は現在も居住者がいる民家であるが、それ以外は見学可能な施設となっている。観光客でにぎわっているわけでもなく、「ひっそりと静まり返った街道」には奇妙な感覚を覚えた。

 川会所では常設のガイドさんが、川越遺跡では文化財課の方がガイドさんが大正について説明してくれた。何か疑問があったときにすぐ質問できるのはうれしい。なお、街道沿いの建物で使用する電柱はセットバックされており、街道の両脇には勢いよく水が流れる水路がある(写真だとこんな感じ)。趣がある屋敷林を持つ島田市博物館分館の前などはとても絵になるのだが、時代劇のロケ地として売り出したりはしないんだろか。

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(地図)まちあるきコース。島田市博物館から旧東海道に出て、口取宿までの道を往復した。

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 (左)島田市博物館の常設展示室にあるジオラマビジョン。(右)街道沿いにある「川会所」。

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(写真)「川会所」でガイドの説明を聞く参加者。

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(左)川越遺跡を歩く参加者。(右)川越遺跡の写真を撮る参加者。

 

午前中の最後には中心市街地にある悪口稲荷へ。この神社では2004年度から「愛するあなたへの悪口コンテスト」が開催されており、境内には歴代の受賞作品が展示されていた。過去5年分の大賞作は下の通り。大賞よりも入賞にニヤリとする作品が多い。公式サイトの歴代受賞作を見ると第1回と直近の回では入賞作の作風がかなり変化している。

2012年度 「空はこんなに青いのに、妻がいる」(31歳、石川県能美市

2013年度 「人参だけの 金平ごぼう」(16歳、静岡県藤枝市

2014年度 「妻は誰か分かるために化粧をする」(56歳、愛知県名古屋市

2015年度 「味噌汁の 味が音程はずれてる」(42歳、滋賀県高島市

2016年度 「不機嫌な 妻にまな板悲鳴あげ」(66歳、千葉県印西市

 

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(写真)今回の昼食はほぼ全員がサンドイッチ&たい焼き。

 

 編集ワークショップ

 午後は島田市立島田図書館でWikipediaの編集を行った。バックヤード部分にある小部屋3部屋を「島田宿大井川川越遺跡 - Wikipedia」「稲荷神社 (島田市柳町) - Wikipedia」「島田大祭 - Wikipedia」の3つの記事に割り当て、それぞれのグループにWikipediaの編集経験者が1人か2人入った。使用する文献は事前に運営側でリストアップし、あらかじめ取り置いてもらっていた。

 私は島田大祭を新規作成するグループに入った。川越遺跡と稲荷神社(悪口稲荷)は実際に現地を見学した。島田大祭については島田市博物館に展示があったが、祭礼の様子を見学したわけではないので、その特徴をつかみにくかった。さらに遺跡や神社とは異なり、祭礼については概してフワッとした内容の文献が多く、うまくまとめるのは難しかった。

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(写真)イベントのために用意された文献。

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(写真)編集ワークショップ中の参加者。

 

 

高校生とウィキペディアタウン

2016年度後半と2017年度後半には長野県立高遠高校で「ウィキペディアタウンスクール」が開催されている。2016年夏には京都府南陽高校で社会実習として「ウィキペディア・タウン by 京都府立南陽高等学校」が開催された。2017年2月の「オープンデータデイ2017 in 掛川 プレイベント」には島田商業高校の生徒が参加。2017年12月の「ブラアツミ」では地元の愛知県立福江高校の生徒が何人か参加していた。

 高校生が主体のウィキペディアタウンでは「地域情報の発信」をテーマとすることが多いが、大学生が主体にするときは「情報リテラシー」もテーマになりうる。今回(島田商業高校)の場合は情報ビジネス科があること、引率者の教員が2017年1月のウィキペディアタウンを経験しているということで、明確な意図を持って「情報リテラシー」をテーマにしたのだろう。一般を、特に図書館司書や教員や研究者が参加者の主体になるときは別のテーマを設定することもできる。

  講師による説明、まちあるき、編集ワークショップ、成果発表という順番は他地域のウィキペディアタウンと同じだったが、この日は編集ワークショップ後にも時間を設けてリテラシーについての説明を行った。Wikipediaに触る前と触った後では説明の受け取り方がかなり違ったはず。今回は図書館や図書館員が運営に深くかかわったイベントではなかったが、高校生に対しての、「編集ワークショップで使用した文献を用意してくれたのは誰なのか」、「調べものをしたいときに手助けしてくれるのは誰なのか」という問いかけは印象的だった。

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(写真)講師の説明を熱心に聞く高校生。

 

www.at-s.com

www.city.shimada.shizuoka.jp