雑誌スポンサー制度(ざっしスポンサーせいど)とは、公共図書館において、企業やNPO法人が雑誌の購入費を負担し、その対価として雑誌カバーに広告を掲載する取り組みのこと。
雑誌スポンサー制度について調べる
Wikipedia記事「越前市立図書館 - Wikipedia」を作成した際、雑誌スポンサー制度は越前市が先駆けであるかのような新聞記事を読んだ。出典を誤読しているのではないかという不安があるため、制度についてちょっとした調べものをした。
雑誌スポンサー制度の歴史、内容やその課題についてまとまった文章がないか検索してみる。レファレンス協同データベースには2013年11月の事例が紹介されていた。
「図書館における雑誌のスポンサー制度を採用している図書館を調査した資料が見たい」という質問に対して、埼玉県立久喜図書館は「該当するような資料は見つからなかった」と答えている。
NDLサーチによると、図書館系雑誌では『図書館雑誌』2014年7月号に「相模原市の図書館における雑誌スポンサー制度の取り組み」という文章が掲載されているらしい。
年末年始で愛知県図書館も休館中。ということで中身を読めないが、全国の雑誌スポンサー制度について調べたものではなさそう。
朝日と読売の新聞記事データベースで「雑誌スポンサー制度」を検索する。大半は制度を導入した自治体の紹介記事で、制度全体について深く調査して書かれた記事は見つからなかった。
ただし、どうやら越前市立図書館は全国2番目の事例であり、全国初は岐南町図書館であることが分かった。JRでも名鉄でも、岐阜市まで行くときに必ず通過する自治体だが、図書館を訪れたことはない。
岐南町図書館。カーリル(CC BY-SA 2.1 JP)より。撮影者:maruyon
今回の簡単な調べものの結果をまとめた。
制度の歴史と課題(Wikipedia風)
2008年7月、岐阜県の岐南町図書館が全国で初めて雑誌スポンサー制度を導入した。同年度には福井県の越前市立図書館でも同様の制度を導入している。岐南町図書館では伊藤恭博館長が発案した。
図書資料費の削減が進むことを背景にして、類似の制度が全国の図書館に浸透していった。朝日新聞の調査によると、2015年度時点では分館を含めて少なくとも355館が雑誌スポンサー制度を導入している。
この制度は基本的に単年度契約のため、スポンサーの安定した確保が課題とされる。岐南町図書館を例にすると、初年度の2008年度には購読69誌のうち10誌が6社によってスポンサードされたが、2013年度には6社9誌に減少している。
図書館コンサルタントの岡本真は「資料費が年々減る中で工夫された良い制度の一つ。図書館も戦略が必要」と指摘している。
各都道府県初の事例
2008年度
2010年度
奈良県立(奈良県)、伊勢市(三重県)、徳島県立(徳島県)、野洲市(滋賀県)、小山市(栃木県)、さいたま市(埼玉県)、天童市(山形県)、厚木市(神奈川県)
2011年度
2013年度以降
新居浜市(愛媛県)、大津町(熊本県)、蔵王町&登米市(宮城県)、大月市(山梨県)
開始年不明
加西市(兵庫県)、松戸市(千葉県)、前橋市(群馬県)、豊見城市(沖縄県)