振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

「みんなの森 ぎふメディアコスモス」

作成の背景

6月後半から7月前半には「岡崎市立中央図書館 - Wikipedia」を加筆しました。この記事では明治時代の通俗図書館時代からの歴史をだらだらと振り返っており、読者が思わず敬遠したくなるような文章量になっています。

2008年には複合施設「岡崎市図書館交流プラザ」(愛称りぶら)に図書館が移転。この複合施設は高く評価されていますが、「岡崎市立中央図書館」という記事名では触れられないことも多くあります。

同一施設内に岡崎ビジネスサポートセンター(Oka-Biz)があることや図書館との関係性、同一施設内に歴史資料館がある意義など。この点で「岡崎市立中央図書館」にはやや不満が残っており、次は複合施設の記事にチャレンジしたいと思いました。

 

メディアコスモスでの写真撮影

岐阜市にある「みんなの森 ぎふメディアコスモス - Wikipedia」は、この2016年7月18日に開館1周年を迎えました。東海地方でもっとも注目度の高い図書館でもあるため、岡崎の次の題材としてメディアコスモスを選びました。建物の設計は伊東豊雄建築設計事務所。伊東は設計者選定後にプリツカー賞を受賞しており、当然ながらその建築が注目を集めています。

内部の写真撮影についてはかなり寛容で、特徴的な木造格子屋根やグローブ(布製天蓋)の写真を掲載している個人ブログが複数あります。加筆以前の記事には外観の写真しか掲載されておらず、建築が特徴の施設としては物足りませんでした。 

メディアコスモスの内部は何時間いても飽きませんし、ローソンやスタバがあるため何時間もいられます(施設外に出てしまうと飲食店を下がるのに苦労する。コンビニとカフェしかないのは岡崎と同じ)。木製天井とグローブに言及するだけでは魅力を伝えきれません。適当にカメラを構えただけで絵になる構図ができるため、施設内の様々な場所で写真を撮り、結局は50枚以上Wikimedia Commonsにアップロードしてしまいました。

書架が一列に整然と並んでいる図書館とは異なり、内部はとても複雑です。記事内に独自にフロアマップを作成して、それぞれの写真の撮影場所とひとつひとつ対応させることも検討しましたが、自己満足で終わりそうなのでやめています。

 

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建物外観と2階フロア。この2枚があれば他の写真は必要ないともいえる。4月以降に3回訪れたがいずれも曇天だった。晴天だと濃褐色の外壁とガラスと緑地が青空に映える。 本ブログの写真撮影はいずれもAsturio Cantabrio

 

Category:Gifu Media Cosmos - Wikimedia Commons : Wikimedia Commonsにある施設外観または施設1階の写真のカテゴリ。計19枚をアップ。

Category:Gifu City Chuo Library - Wikimedia Commons : Wikimedia Commonsにある施設2階(図書館部分)の写真のカテゴリ。計33枚をアップ。

 

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アップした写真にはほとんど人が写っていませんが、どの写真もフレームの外側は利用者でにぎわっています。(1枚目)グローブの中。火災に強い内装。(2枚目)自由に立ち入ることができる開放書庫。(3枚目)グローブ内部と最上部の開口部分。(4枚目)館内にいくつも設置されているフロアマップ。(5枚目)貸出前の本を持ち出せる金華山テラス。(6枚目)天井の格子屋根の実物大模型。こうしてみると大きい。(7枚目)特に意味のない無駄な写真。ブログのにぎやかし。(8枚目)屋外の緑地空間。右奥にメディアコスモス

  

使用した文献

メディアコスモスの郷土資料コーナーには、施設に言及している新聞記事がスクラップブックにまとめられています。「開館前」「2015年」「2016年」の3つのスクラップブックがあったので、記事に使えそうな新聞記事を抜き出して文章の核としました。

まずはすべての新聞記事から使えそうな文章を抽出し、「歴史」に関する文章、「建築」に関する文章、「特色」に関する文章に分けてから読みやすいように並べ、自分の言葉で書き直しています。

Cinii検索やNDLサーチでは『日経アーキテクチュア』『新建築』『近代建築』『日経コンストラクション』が引っ掛かったため、愛知県図書館でこれらの雑誌からメディアコスモスが取り上げられた号をコピーし、主に「建築」節に使用しました。『図書館雑誌』には吉成館長が書いた記事が掲載されており、これも「特色」節に使用しています。

 

新聞記事にはメディアコスモスの受賞歴が一切登場しないのが気になりました。メディアコスモスのレファレンスカウンターで「何か建築関係の賞を受賞していないか」聞いてみると、司書さんが施設担当部署に電話してくださりますが、「(建築賞の受賞は)まだこれから」とのこと。

それでは「何か外部からの評価を受けていないか」と聞くと、日本グラフィックデザイナー協会の「JAGDA賞2016 環境・空間部門」と照明学会の「照明デザイン賞2016 最優秀賞」を受賞したばかりであることがわかりました。

自分で軽くググっただけではこの2つの賞にはたどり着けませんでした。ですが確かに、JAGDA賞と照明デザイン賞の公式サイトには受賞施設としてメディアコスモスが掲載されています。この手の情報は直接聞いてみるのは一番ですね。

 

まとめ

7月に作成した岡崎、津島、岐阜の3館は私の居住地から近いこともあり、その図書館と愛知県図書館で得られた文献だけを使用しています。陸前高田市図書館や伊那市図書館の作成時に比べると費やした時間と労力は1/3くらい。サクッと作成しており、まだまだ書き足せる内容があるでしょう。ウィキペディアンが記事の土台を作って、地元の方(今回の場合は岐阜市民)が細部について書き足すという、意図しない共同作業が生まれることを期待しています。

岡崎市立中央図書館と愛知県図書館は、私が図書館で調べ物をするときの拠点になっています。身近にこんな図書館があるのは幸運です。

 

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写真は金華山。昔々の話ですが馬の背登山道を一日で4往復したことがあります。この写真左下隅の空き地がメディアコスモスWikimedia Commonsより。撮影者 : 上条ジョー